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ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

単語レベルでは置き換えられない

当たり前の話であるが、多くの人が当たり前だと感じている「以上に」日本語と英語には大きな、根本的と言っていい違いがたくさんある。

しばしば、英語を学ぶときは日本語で考えるな、英語で考えろ、とか言われる。昔、自分が四苦八苦しながら英会話を勉強していたとき、このことにかなり悩んだ。どうしたって日本語で考えてしまう。それじゃいけないのか!と。
だが今は言える。…そんなことはムリである、とくにはじめのうちは。
人間は言語を持って「考える」のであって、言語化されていない考えなんてものはなく、日本語を母国語としている人間は、日本語でまず考えるのが当たり前なのである。
まだ英語に慣れておらず、語彙も少ないうちは、英語で考えようとしたら頭が空白になってしまうだけである。

たしかに、英語に慣れてある程度しゃべれるようになってくれば、ある程度は英語でそのまま考えたりしている自分を発見する。そうなってくればかなり「英語の話せる人」という状態である。

だが、英語で考えるのなんて「ムリ」な状態から、ある程度は英語で考えられる状態になるまでの間には、「英語で考えるようにしなくては」と努力することなどは不必要だ。というか、その方向で努力してもそうならない。逆である。英語が話せるようになると、英語で考えられるようになる、ということなのだ。

とはいえ、「英語で考えようとする」ことに「似た」努力は必要である。つまり、日本語の「発想」をどうやったら英語の「発想」に変換できるかという原則を知り、それを心がけることである。単語を英単語に置き換えても英語にはならない、ということを知らなければならない。

この日本語の単語は英語でなんて言うのですか、などと質問されることがよくある。その単語が明らかに名詞である場合は、それでもなんとかなる場合が多い。だが、副詞(句)などだと一筋縄ではいかない。
たとえば「ずっと」という語。
「ずっと待っていたのよ!」
などという文において「ずっと」は英語で何だろう、と単語レベルで考えてもうまくいかない。for a long time 「長い間」などというフレーズは思いつくかも知れないが、それも「ずっと」という言葉のニュアンスをちゃんと伝えているわけではない。
上記の文は
I've been waiting for you (for a long time).
とでもなるだろうが、「ずっと」というニュアンスはこの、「現在完了進行形」という時制(あるいは文の構造と言ってもいいが)のほうに出てくるのである。「ずっと待っていた」とは言えても「ずっと」だけを切り離して「英語でなんというのか」と聞かれても答えにくい。

「久しぶり」
なんていう言葉も日本語では一語で済むのに、英語だと極めてややこしい(しかも私の生徒さんに尋ねられる率も極めて高い)。まず、何について久しぶりなのかによって違ってくる。一番単純に考えれば
after a long interval (長い間隔の後)
という句が割りに使いやすいかもしれないが、わりに公式っぽいニュアンスがあるので、これを使うのがばっちりあてはまる、という場面ばかりではない。
for the first time in a long while(長い期間の間で初めて)
などというのもよく使うが、日本語の単語の簡便さから考えるとえらいこっちゃ、である。ましてや、人と久しぶりに出会って
「ああ!久しぶり!」
なんていうのはまた違う場面だ。簡略には
Long time no see!
などと言うが、
It's been a while since we met last time!
なんぞとも言う。ほかにもいろいろあるが、えてして日本語の感覚より長ったらしい)

「もったいない」
に至っては、そのココロをきちんと伝える英語の表現はない、ということでmottainaiがこのごろ国際的に有名になっている。ノーベル平和賞を受賞したケニアの女性大臣が、日本の「もったいない」という感覚はすばらしい、と提唱したからである。それでもあえて英語を探せば、これまた「どういうふうにもったいないのか」によって違ってしまうし、表現方法によっても異なる。
「ああ、もったいない!」と慨嘆するのなら
What a waste! (なんという無駄だ!)
と言えばいいと思うが、
「もったいないから捨てるのやめようよ」
などという場合は、たとえばその意を汲んで
We shouldn't waste it.(それを無駄にするべきではない)
などと言うとか、とにかく「もったいない、って何ていうんですか」という質問には実に答えにくいのである。

(ところで、こういうのを調べるのに実にお役立ちなサイトがある。English Jornalなどを発行しているスペースアルクという会社のサイトだが、トップページに「英辞郎on the WEB」という検索窓があって、そこで「久しぶり」などと入れて検索すると、例文がゴマンと出てくるのだ)


だから、英語学習において「日本語で考えるな」というのは、このレベルの話なのである。つまり単語や句レベル。日本語と英語を行き来するときは、「文」レベルで考えなければいけない。翻訳や英作文をするとき、あるいは自分で自分の言いたいことを述べるときも、日本語の単語ひとつひとつにこだわらず、文全部で「何を伝えようとしているのか」を捉えなくてはならない。
逆に言えば、英語の単語を覚える場合も、その語が文の中ではどのように「効いて」いるのかを常に意識しなくてはいけないのである(つまりしつこく言っている「キモチ」を捉えよ!である)。

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さて、とにかく「英語は日本語じゃない」(あたりまえ)を常に意識しながら、英語を勉強している途上のオトナとしてはまずは日本語が念頭にくるのはこれまた「アタリマエ」なので、それはそれとして、つまりは「文単位」で英語と日本語を行き来することになるわけだが、そのためにはまず、「ほんとに根本的な英語~日本語との決定的な違い~」について知らなければならない。テキの正体を知ることこそ攻略の第一歩である。次回はその「根本的違い」について書く。

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